2024/02/04 08:10
前回に引き続き、アンティケール・パリの商品を例に、宝石のカットのご紹介です。


こちらはルーペで観察するとスイスカットによく似ているのですが、よく見るとテーブル面は8角形ではなく6角形です。
石が小さいので、スイスカットを応用してファセットを少し減らしたのかも知れません。
それにしてもすべて手作業で磨いていた時代ですから、仕事の細かさに感動しますね。


表面(クラウン)はオーバルカット、裏面(パビリオン)はアンティークカットに似ています。
両方がミックスされた様です。



こちらの美しい輝きのブルートパーズですが、ラウンドブリリアントカットの初期のものか、またはロイヤルカットかと思われます。
クラウン(上部)はどちらにも似ていますが、外周(ガードル)より下のパビリオンのカットが、ロイヤルカットに似ています。
ガードル部が覆われているので、断定するのは難しいのですが、いずれにしてもファセット面が多いので、光が綺麗に反射します。


上のピアスとブレスレットに使われている石にはカボションカットが使われています。
ぷるんとしたフォルムが可愛らしい印象を与えるカットです。
現在でも日常的に目にするカットですが、その起源は古代インドにまで遡るようです。
以上、アンティケール・パリの商品を例に、宝石のカットを見てきました。
石が既に台座にはめ込まれていると、カットを断定するのが難しくなるのですが、ルーペで観察してわかる範囲でご紹介しました。
カットそのものも、それぞれの職人によって石に合わせて綺麗に見せるように工夫がされており、カットの絶対的な形が確立される前の品々ならではだと思います。
この時代の職人の手仕事を感じて頂けれたら幸いです。